Q.12 ウールのセーターが少し縮んだ……
A.12
収縮には大まかに分けて3種類の区別があります。
(1)単に水に濡れて繊維が膨らんだことが原因で起こる収縮を、膨潤による収縮と言います。
この場合は原寸に整形することは比較的容易です。お出しになったクリーニング店に申し出てください。
(2)生地の製造工程で生じたひずみや張力などが、着用や洗濯で生地としての安定した状態になることで起こる収縮を緩和収縮といいます。緊張が緩和されたわけです。
生地自体に問題が潜んでいたわけですから、無理に引き延ばしてもまたすぐに縮んだ状態に戻ってしまいます(この寸法が安定した状態)。
綿ニット地などによく見られる例ですがその状態で安定していますので、スカートなどで裏地が出るような場合にはそこで裏地を補正する方が正解といえます。
(3)もう一つを縮充(フェルト)収縮と言います。これは、ウール繊維の表面を覆っている鱗状の組織(スケール)が物理的な力の作用で絡まって起こる収縮です。
縮み方が極端で、全体が硬くなっています。この場合、原寸に整形し直すことはほぼ絶望的です。
TVなどで、このフェルト収縮したセーターをヘアーリンスで復元するなどと滑稽なことを言う人もあるようですが、決して満足な結果にはなりません。
クリーニング店の取り扱いでそうなったとすれば、クリーニング事故といえます。
お訊ねの件は、(3)のケースではなさそうで、(1)に当てはまるかも知れません。
ウール100%なら慎重に洗っても、若干の縮みは起こることがあります。事前に原寸を確認していれば、その寸法に合わせて仕上げ作業をしたでしょう。
その点が多少の落ち度でした。
クリーニング店にどの程度の縮みが起こっているか相談し、原寸に戻す努力を促してください。