Q.04 どんなシミでも落とせる?……
A.04
率直に言って、そう言うお店は信用できません。シミ抜き技術を追求すればするほどシミ抜きの難しさに直面します。
最近では、衣料品に種々の新素材やデリケートな極細繊維が使われるようになってきました。
それらのなかには、付着したばかりのシミでさえシミ抜きに着手できないものがあります。
例えば、濃色のシルクのコートに接着剤が付着したりすると、接着剤そのものは除去できてもシミ抜き工程でかなり物理的な力が加わりますので、生地が白けたり、スレが発生したりします。これでは、シミ抜きが成功したとは言えません。初めから着手しないことが賢明です。
このように、シミ抜き作業が不適当なものは多いものです。素材による制約を大きく受けているのがシミ抜きの難しいところです。
シミ抜きの最終的な目的は、シミを抜くこと自体ではなく(誤解を招きやすい表現ですが)、そのことによってより快適に衣服を着ていただくことにありますから、シミは抜けたけれどもこんな状態では着られないと言うのでは意味がありません。
また、技術的に可能だと言うことと商談としてのシミ抜きが成立するかどうかは別の問題です。
例えば、バーゲンセールで1000円程度で買える品物のシミ抜き手数料が2000円かかるのでは、商談不成立です。
シミ抜き手数料は元の入手価格とは関係なく純粋に技術料ですから、このような例もしばしば起こります。
シミ抜き手数料がかなり高額になる和服の場合などはなおさらです。
もっとも、買ったときの値段は破格に安かったけれども、とても気に入っていて着やすいというお話もあります。
お客様の衣服に対する思い入れは様々です。シミ抜きって難しい(^^;